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治療・症例に関すること
診療報告 【腫瘍性疾患】
大腿部の腫瘍(肥満細胞腫)~皮膚に発生した腫瘍
犬の肥満細胞腫は3大悪性腫瘍の1つとされています。多種多様の形態をとり、あらゆる場所に発生します。皮膚型の肥満細胞腫は数mmのものでも認められます。
長い間穏やかに経過していた小腫瘤でさえ、肥満細胞腫の可能性がありますので注意してください。
この子は美容の際に見つけたもので、脂肪のような軟らかめの腫瘤でした。針生検から腫瘍細胞を発見し手術となりました。悪性腫瘍にて経過観察中です。
また この腫瘍はパグ犬と猫は小さめの形態をとるものが多く注意が必要です。
皮膚の腫瘍(扁平上皮癌)~皮膚に発生した腫瘍
顔面に発生した腫瘤です。 猫の皮膚腫瘤は悪性のものが多く、その中でも扁平上皮癌は比較的多く認められる腫瘍です。
小さな腫瘤でも精査が必要です。
皮膚の腫瘤(皮脂腺上皮腫)~皮膚に発生した腫瘍
中高齢を迎えたワンちゃんには皮膚腫瘤が多く認められることがあります。
飼い主さんはヒトと同様単なるイボとして見逃される事が多いようですが、中には 肥満細胞腫といった悪性の腫瘍も存在します。
また良性であってもその存在自体が動物にとっては苦痛の原因になったりします。
写真左:中央に腫瘤があります/写真右:病理組織写真です(良性です)
肥満細胞腫 ~皮膚に発生した腫瘍
猫の肥満細胞腫は犬と同様 、3大悪性腫瘍のひとつです。
肥満の仔に特有ということではなく、肥満細胞という血液細胞が腫瘍化する疾患です。中高齢に多く猫では皮膚、脾臓、肝臓等に多く発生します。
写真は猫の大腿部内側(うちもも)に発生した肥満細胞腫です。非常に小さな腫瘤でした 。
写真左:肥満細胞腫はあらゆる形態の皮膚腫瘤をつくります。
写真右:トルイジンブルー染色にて、肥満細胞特有の細胞質内顆粒が認められました。
皮膚の腫瘍 (組織球腫)~皮膚に発生した腫瘍
犬では比較的多く認められる腫瘍性疾患です。若いワンちゃんにも発生します。
1月くらいで自然に退縮する場合もありますが、腫大傾向をとる 。
もしくは退縮しない場合は摘出手術が適応となります。
ミニチュア・ダックスなどでは再発を繰り返すケースもあります。
皮膚の腫瘍 (メラノーマ)~皮膚に発生した腫瘍
犬では比較的多く認められる腫瘍性疾患です。
腫瘤は黒色を呈し、腫瘍細胞には黒色顆粒を認めます。
悪性で転移をしやすい腫瘍です。
腫瘍細胞には黒色顆粒を含みます。
皮膚の腫瘍(肥満細胞腫)~皮膚に発生した腫瘍
犬の肥満細胞腫は3大悪性腫瘍の1つとされています。
多種多様の形態をとり、あらゆる場所に発生します。皮膚型の肥満細胞腫は数mmのものでも認められます。
長い間穏やかに経過していた小腫瘤でさえ、肥満細胞腫の可能性がありますので注意してください。
“大丈夫だろう”には大きな落とし穴があります。またパグ犬と猫は特に小さめの形態をとるものが多く、注意が必要です。
乳腺腫瘍
犬の乳腺腫瘍は比較的多く 認められる腫瘍です。およそ50%が悪性とされ、早期に発見し、外科的に摘出することが第一選択となります。
肺転移を起こしやすく、術後も経過観察が必要です。
腫瘍増大には性ホルモンが関与されていることがわかっています。手術には腫瘍の性質により部分摘出と乳腺全摘出があります。
乳腺腫瘍の予防として生後6ヶ月齢頃の発情前の不妊手術が推奨されています。
写真左:左側第4-5乳腺に腫瘍と潰瘍を認めます。
写真右:病理検査
肝臓の腫瘍(肝細胞癌) ~腹腔内の腫瘍
腹囲膨満、元気食欲の低下を主訴に来院されました。レントゲン検査、腹部超音波検査から腹腔内の 肝臓脾臓部位に腫瘍性病変を認め、外科手術から腫瘍化した肝臓を認めました。
病理組織学検査から肝細胞癌と診断されました。犬の肝癌では血液検査においても異常値を示さない場合があります。
健康そうなワンちゃんネコちゃんについても、中高齢を迎えた際には、血液検査や画像検査を含めた“がん検診”をお勧めします。
腸閉塞(小腸癌)~腹腔内の腫瘍
腸閉塞を生じた猫ちゃんです。腸閉塞の原因には異物、腫瘍、腸重積などがあります。
症状は連続的な嘔吐、腹痛で、重度の全身状態の悪化を招きます。 緊急手術(小腸癌)でした。
写真左:外科手術です
写真右:病理検査から小腸癌でした
肝臓の腫瘍(胆管細胞癌)~腹腔内の腫瘍
10歳のオスのワンちゃんが、3日前からの元気食欲の低下を主訴に来院されました。
レントゲン検査、腹部超音波検査から腹腔内の脾臓部位に腫瘍性病変を認め、外科手術から腫瘍化した肝臓を認めました。
病理組織学検査から胆管細胞癌と診断されました。犬の肝癌では血液検査においても異常値を示さない場合があります。
実際にこの子は肝機能の著しい異常値は認めませんでした。
健康そうなワンちゃんネコちゃんについても、中高齢を迎えた際には、血液検査や画像検査を含めた“がん検診”をお勧めします。
写真左:胸部レントゲン写真です。肝臓後方にmass陰影を認めます。
写真右:病理組織検査の結果、胆管細胞癌でした。
脾臓の腫瘍(悪性リンパ腫)~腹腔内の腫瘍
一般状態良好、腹囲膨満を主訴に来院された8歳のワンちゃんです。
腹部レントゲン検査、超音波検査にて脾臓の腫大を認め、精査として細胞針検査、遺伝子検査、病理組織検査を実施。悪性リンパ腫(T細胞型)と診断。化学療法を実施しました。
脾臓の腫瘍(悪性線維性組織球腫)~腹腔内の腫瘍
10歳のオスのワンちゃんです。 当初皮膚疾患を主訴に来院しましたが、血液検査から肝機能の低下。レントゲン検査、腹部超音波検査から腹腔内の脾臓部位に腫瘍性病変を認めました。
外科手術から腫瘍化した脾臓を摘出し、病理組織学検査を行ったところ悪性線維性組織球腫と診断されました。
この部位の腫瘍としては血管肉腫、肥満細胞腫、リンパ腫が多く、3大悪性腫瘍の後発部位でもあります。
早期発見が予後に重要となります。
写真左:腹部レントゲン検査から腹腔内腫瘍の疑いを認めます。
写真右:病理組織検査から悪性線維性組織球腫と診断されました。
脾臓の腫瘍(血管肉腫)~腹腔内の腫瘍
7歳のダックスフンド、メスのワンちゃんが出血性腸炎で来院されました。
精密検査から重度の貧血と腹腔内の脾臓部位に腫瘍性変化を認めました。
即日入院し、点滴、輸血等の治療から一般状態を 回復し、腹腔内腫瘍摘出手術を行いました。腫瘍化した脾臓を摘出し、病理組織学検査を行ったところ血管肉腫と診断されました。
血管肉腫は3大悪性腫瘍と言われており、発見の如何では腫瘍の破裂から死を招きます。
また、摘出しても再発率が非常に高く、術後の平均生存期間は2~6カ月とされています。
この子は手術終了後、化学療法(VAC療法)とサプリメント療法を行いました。
写真左:腹部のレントゲン写真です。
写真右:病理組織検査です。
胃癌(肥満細胞腫)~腹腔内の腫瘍
数日前からの嘔吐を主訴に来院され たワンちゃんです。
バリウム検査から胃から小腸における通過障害が確認され、異物の誤飲を疑い外科手術を行いました。
その結果、胃の幽門部に大きな腫瘍を認めました。 通過障害を解除するため胃と小腸のバイパス手術を行いました。
病理組織学検査から肥満細胞腫と診断されました。
数日前からの嘔吐を主訴に来院され たワンちゃんです。
バリウム検査から胃から小腸における通過障害が確認され、異物の誤飲を疑い外科手術を行いました。
その結果、胃の幽門部に大きな腫瘍を認めました。 通過障害を解除するため胃と小腸のバイパス手術を行いました。
病理組織学検査から肥満細胞腫と診断されました。
犬悪性リンパ腫(多中心型) ~血液の腫瘍(白血病やリンパ腫)
悪性リンパ腫は 犬猫において最も高頻度に見られる腫瘍の一つです。
リンパ節に由来する腫瘍で、 体表リンパ節や消化器、皮膚に発生するタイプ、肝臓、腎臓といった臓器のリンパ節などにも発生するタイプがあります。
診断は病理組織学的診断のほか遺伝子診断を用いて確定します。
原因については明らかにされていませんが、6歳齢から発現が認められ 、最近ではM・ダックスフンドの若齢での発生も認められています。
悪性リンパ腫の治療法については化学療法が効果的であることから抗がん剤が推奨されています。抗がん剤に対する悪い印象をお持ちになられる方がいますが、この腫瘍は他の悪性腫瘍に比べ抗がん剤に対する感受性が極めて高く、低用量でも効果が見られるためほとんど副作用の発現なしに化学療法を行う事が出来ます。
また治療を行わない場合ほとんどの犬が4~6週間以内に亡くなってしまいます。
この腫瘍については現在まで多くの研究蓄積があり、ペットの延命に貢献しています。
写真左:下顎リンパ節の腫大を認める
写真右:病理組織検査から悪性リンパ腫
猫悪性リンパ腫(縦隔型) ~血液の腫瘍(白血病やリンパ腫)
猫の悪性リンパ腫は犬と同様リンパ節に由来する腫瘍で、最も高頻度に見られる腫瘍の一つです。
原因については明らかにされていませんが、猫白血病ウイルス(feline leukemia virus,FeLV)や猫免疫不全ウイルス(feline immunodeficiency virus,FIV)の感染がリンパ腫の発生頻度を上げることが知られています。
猫のリンパ腫の代表的な病型としては,消化管型(alimentary form),縦隔型(mediastinal form),多中心型(multicentric form)の3つがあります。
治療法については化学療法が推奨されています。この腫瘍は他の悪性腫瘍に比べ抗がん剤に対する感受性が極めて高く、低用量でも効果が見られるためほとんど副作用の発現なしに治療を行う事が出来ます。
この腫瘍については現在まで多くの研究蓄積があり、ペットの延命に貢献しています。
猫悪性リンパ腫(腎臓型)~血液の腫瘍(白血病やリンパ腫)
猫の悪性リンパ腫は犬と同様リンパ節に由来する腫瘍で、最も高頻度に見られる腫瘍の一つです。
原因については明らかにされていませんが、猫白血病ウイルス(feline leukemia virus,FeLV)や猫免疫不全ウイルス(feline immunodeficiency virus,FIV)の感染がリンパ腫の発生頻度を上げることが知られています。
猫のリンパ腫の代表的な病型としては,消化管型(alimentary form),縦隔型(mediastinal form),多中心型(multicentric form)の3つがあります。
治療法については化学療法が推奨されています。この腫瘍は他の悪性腫瘍に比べ抗がん剤に対する感受性が極めて高く、低用量でも効果が見られるためほとんど副作用の発現なしに治療を行う事が出来ます。
この腫瘍については現在まで多くの研究蓄積があり、ペットの延命に貢献しています。
猫の多発性骨髄腫 ~血液の腫瘍(白血病やリンパ腫)
多発性骨髄腫は犬猫では発生が少ない骨髄腫瘍性疾患でありますが、猫においては犬よりもその報告が少なく不明な点が多いとされています。
治療法については化学療法が推奨されています。この症例は化学療法を行い、予後は良好でした。
(平成25年度神奈川県獣医師会学術奨励発表会において学術賞を受賞)
猫白血病(巨赤芽球系貧血) ~血液の腫瘍(白血病やリンパ腫)
猫白血病ウイルス(feline leukemia virus,FeLV)の感染による骨髄性疾患から重度の貧血を認めた6ヶ月齢の猫ちゃんです。
骨髄検査から巨赤芽球系貧血と診断されました。
心臓の腫瘍(心臓の血管肉腫) ~その他の腫瘍
心臓内における腫瘍の発生率は非常に低いとされています。その中でも原発性あるいは転移性の血管肉腫は比較的多い腫瘍で、中高齢を迎えたジャーマン・シェパードとゴールデン・レトリーバーに多く認められます。症状は腫瘍が原因とされる心嚢液の貯留により心臓の動きが抑制され(心タンポナーゼ)、心不全の症状を示すようになります(元気消失、食欲低下、虚脱、運動不耐性、咳など)。
診断は各種血液検査、胸部レントゲン検査、心エコー検査、心嚢液の細胞検査になりますが、確定診断は非常に難しい腫瘍です。
口腔内腫瘍(扁平上皮癌の下顎骨浸潤) ~その他の腫瘍
食欲不振を主訴に来院した猫ちゃんです。
画像検査にて下顎骨の骨融解像を認め、病理検査にて扁平上皮癌と診断されました。
骨肉腫 ~その他の腫瘍
犬の骨腫瘍は80%以上が悪性腫瘍とされ、骨肉腫 がその大半を占めます。
四肢(特に上腕骨)における発生率は高く、激痛から患肢の負重を困難とさせます。
ゴールデンレトリーバーなどは好発犬種で、診断には血液検査、レントゲン検査、骨バイオプシー検査等が必要です。
多くが予後不良となるため、出来る限りの早期発見と鎮痛を目的とするための治療が必要です。
11歳のゴールデンレトリーバー。元気食欲あり。
2週間前から右後肢の跛行を認める。レントゲン検査にて上腕骨近位端に骨融解像を認める。
外科手術。病理検査から骨肉腫と診断。
膀胱腫瘍(移行上皮癌) ~その他の腫瘍
排尿困難を主訴に来院した猫ちゃんです。
画像検査にて膀胱内に腫瘤を認め、病理検査にて移行上皮癌と診断されました。
肢端の腫瘍 ~その他の腫瘍
肢端に発生した腫瘍です。
眼瞼の腫瘍( マイボーム腺腫、組織球腫) ~その他の腫瘍
眼瞼上の腫瘍については良性であることが大半ですが、違和感が生じるほど大きくなることで眼を掻いたりして角膜を傷つけることもあります。
悪性のケースもあります。
写真左:手術前
写真右:病理検査 マイボーム腺腫
肛門の腫瘍 ~その他の腫瘍
肛門の腫瘍は中高齢を迎えた未去勢のワンちゃんに多くみられます。
男性ホルモンによる腫瘍の腫大化が知られており、去勢手術が治療の第一選択になります。
この子は肛門周囲腺腫(Perianal gland adenoma)でした。
この後摘出手術となりました。
精巣の腫瘍(セルトリー細胞腫) ~その他の腫瘍
精巣の腫瘍はその形が著しく大きくなることで発見されます。そのほとんどはセルトリー細胞腫といわれるもので、この腫瘍は骨髄に転移し貧血の原因になります。
治療の第一選択は外科的摘出になりますが、摘出後数年たってから転移を認めることもありますので定期健診が必要となります。
精巣の腫瘍は悪性腫瘍が多く、他に間細胞腫、精上皮腫などがあります。また陰嚢は肥満細胞腫の好発部位でもあります。
写真左:右の精巣が腫瘍化し大きくなっています。
写真右:病理組織検査からセルトリー細胞腫と診断
膀胱癌(移行上皮癌) ~その他の腫瘍
10歳のヨークシャ・テリア、オスのワンちゃんが 血尿を主訴に来院されました。
この仔は2年ほど前から血尿を繰り返し、膀胱炎として治療されておりましたが、最近になって排尿時に苦痛を認めるとのことでした。
精密検査から 膀胱内に腫瘤が確認され、外科手術を行いました。病理組織学検査から移行上皮癌と診断されました。
移行上皮癌は 膀胱癌の中ではもっとも発生頻度が多く、治療も困難とされています。
外科的手術が最善とされていますが、膀胱炎と症状が似ていることから発見時には病状 が進行している場合が多く、尿管にまで達している場合は摘出が不可能となります。
肺癌 ~その他の腫瘍
肺の疾患では咳、呼吸速拍、呼吸困難、チアノーゼ、吐血、運動不耐性といった症状が多く認められます。
多くは乳腺腫瘍、骨肉腫といった癌の転移性病変ですが、原発性の場合もあります。
この子は15歳の柴犬ですが、その日の午前中に急に呼吸が荒くなり、わきを抱えるとひどく痛がるとのことでした。
胸部レントゲンから肺に腫瘍性病変が疑われ、病理組織検査を行ったところ肺癌と診断されました。
他に病変がなく原発性の肺癌と考えられました。
口腔内の腫瘍(扁平上皮癌) ~その他の腫瘍
口腔内の腫瘍では扁平上皮癌や悪性黒色腫などの悪性腫瘍も多く認められます。
中高齢を迎えたワンちゃんは定期健診として口腔内の観察が必要です。
この仔は上顎の歯肉から発生した 扁平上皮癌でした。
写真左:口腔内の所見です。
写真右:病理検査から扁平上皮癌と診断されました。放射線療法となりました。
口腔内の腫瘍(エプーリス) ~腹腔内の腫瘍
口腔内の腫瘍では扁平上皮癌や悪性黒色腫などの悪性腫瘍も多く認められます。
中高齢を迎えたワンちゃんは定期健診として口腔内の観察が必要です。
この仔は上顎の歯肉から発生した良性腫瘍でした。
写真左:歯肉腫(エプーリス)の症例です。
写真右:病理検査から棘細胞症性エプーリスと診断されました。
縫合糸反応性肉芽腫性炎 ~腹腔内の腫瘍
他院にて去勢手術後、手術部位の炎症を繰り返していたとのこと。
精密検査から皮下に腫瘤を認め、外科的摘出術を行いました。
8cm大の腫瘤は癒着が強く、血管新生も多く認めました。
腫瘍の中には絹糸が認められました。